化学系研究職の転職コラム

化学メーカーの転職で狙うべきはどんな会社なのか?

化学業界がホワイトだということは、他の記事でも話をしてきた。

しかし、意外と化学業界で働いている人は自分がホワイト業界で働いていることを知らない。というか気づいていない。

化学業界で働いているあなた、恵まれているんですよ。

さて、しかしである。

そんなホワイト業界の中でさらにホワイトな会社、ホワイトオブホワイトの会社というのが存在する。

それがどんな会社なのかを紹介しよう。

このホワイトオブホワイトな会社がどんな会社なのかを知らないと、自分が行きたい会社を探すのに苦労するだろう。

また、本当にこの会社でいいのだろうか?と考えてしまうかもしれない。

この記事では僕が考えるホワイトオブホワイトな会社がどんな会社なのか、を紹介する。

この記事を読めば、自分が選んだ会社がホワイトオブホワイトなのかどうかを判断する基準ができるのでぜひ読んでいってほしい。

それでは始めていこう。

現在の化学業界の立ち位置

現在の化学業界全体の立ち位置についてお話ししていこう。

僕は基本的に、現在の化学業界に大きな伸びしろは期待できないと考えている。

大きな伸びしろがある業界というのは、例えば半導体業界のように、これから大きく伸びていくとされ、社会からも注目される業界だ。

化学業界というのは、そういう伸びしろが期待される業界ではない。

その理由は二つある。

一つ目は、社会が新しい化学物質を求めていないこと。

二つ目は、環境問題などの影響で化学物質を減らす活動が活発なこと。だ。

まず、一つ目の社会が新しい化学物質を求めていないこと。について解説していく。

これはあなたも身に覚えがあると思うが、社会はもうそんなに新しい化学物質を求めてはいない。

例えば、化学製品の例として塗料がある。新しいタイプの塗料、例えば少し今よりも雨風に強く剥げにくい塗料を開発したとする。

その塗料を消費者であるあなたがそんなに欲しいのかという話だ。

安価であれば欲しいと感じるかもしれないが、これまでに比べて高ければそんなに欲しいと思わないだろう。

なぜなら、今あるものでも十分に満足できる性能だからだ。

現在の社会は豊かになり、新しい化学製品をそこまで求めなくなったのだ。

次に二つ目の理由は、現代は化学物質を減らす活動が活発になっていることが挙げられる。

これは環境問題の影響だろう。現在は気候変動の原因の一つが二酸化炭素だと言われている。

化学物質を作る際に二酸化炭素が多く排出されるので、化学物質が規制される方向にある。

これらの理由から、化学業界が今後大きく伸びるというのは期待できない。

しかし、だ。

化学業界の市場規模が大きく後退することもないだろう。

なぜなら、化学物質がないと人類は生活することが難しいからだ。

今、あなたの身の回りにあるものを見てみて欲しい。

全てが化学製品だろう。

スマホも化学製品から作られているし、あなたが着ている服も化学製品だろう。

もう、人類は化学製品がないと今の生活を維持できないのだ。

そう考えると、全ての化学製品をなくすことはできないので、化学業界が大きく衰退することもない。

これが化学業界の現状だ。

この伸びも衰退もなかなかしない業界構造が競争を少なくし、化学業界というホワイトな業界を作り出している。

ホワイトオブホワイトな会社を生み出しているものは何か

さて、そのホワイトな化学業界において、さらにホワイトオブホワイトな会社を生み出しているものは何か。

それを知るために、化学業界をさらに詳細に見ていく。

化学業界をさらに細かくすると、用途が細分化されていることに気づく。

いわゆる多品種少量生産だ。

業界が成熟していくと、どうしてもこのようになっていく。

これは大学の研究なんかもそうだ。

専門がかなり細分化されていき、今では本当にニッチなことを何十年とやっている先生がいる。

もはや細分化は成熟していくことの宿命と言ってもいい。

化学業界はとても成熟している業界なので、どんどん作るものがニッチになっていく。

多品種が作られるということは、社会は豊かになる。

作られる商品の数が多いということは、消費者は多くの商品から自分の欲しい商品を選ぶことができる。

それは社会の豊かさそのものだ。

しかし、それらの商品を作っている方はどうだろうか。

小さいロットでしか商品を作ることができないので、作る際のコストが大きくなる。

コストが大きくなるということは、利益が小さくなるということだ。

利益を出そうとするには、高い価値を出し、高い値段でも買ってもらえる商品を開発しなければならない。

今の化学業界で利益を出そうとすると、高付加価値商品を作らなくてはいけないのだ。

この高付加価値をを出すことで利益を上げている会社というのは、結構大変だ。

なぜなら、高付加価値というのは、これまでなかった価値なので、それを見出すにはかなりの研究開発が必要になるからである。

高付加価値を出していても、その価値は時間と共に陳腐化するので、常に新しい価値を求め続けなければいけない。

常に新しいことをやらなければいけない、価値を生み出し続けなければいけないというのはかなり辛いことである。

うまくいかないことばかりの研究開発をやっている方なら、常に成果を出し続けなくてはいけないということがどれくらい大変なことなのかはわかるはずだ。

ところが、そんな高付加価値商品を生み出さなくても、利益を出すことができる会社がある。

それが、原料を供給しているメーカーだ。

高付加価値商品を生み出すためにも、原料が必要だ。

もう一度塗料の例を持ち出してみる。

塗料の原料の一つにアクリル樹脂がある。アクリル樹脂がないと塗料を生み出すことはできない。

高い値段で買ってもらえる塗料を作ることは難しいけれども、その塗料を作るメーカーはアクリル樹脂がないと塗料を作ることはできない。

だから、安い樹脂を作るにしても高い樹脂を作るにしてもアクリル樹脂は必要であり、アクリル樹脂という原料を作っているメーカーはどちみち儲かるのだ。

ここで、ホワイトオブホワイトを生み出しているものが明らかになる。

現在の化学業界はどんどん細分化されており、基本的には多品種少量生産の方向だ。

しかし、一方でその製品を作るための原料は昔から変わっていないので、その原料を持っている企業は特に新しいことをする必要はなく、利益を確保することができるのだ。

つまり化学製品を作るための原料を扱っている会社こそが、ホワイトオブホワイトな会社ということになる。

具体的にどこに行くべきななのか

ここまで書けば、どこの会社に行くべきなのかが明らかになる。

そう、原料を扱っている会社、もしくは原料を作るために必要なものを作っている会社だ。

なぜなら、それらの会社こそがホワイトな化学業界の中でもさらにホワイトなホワイトオブホワイト企業だからだ。

ビジネスモデルに裏打ちされた、真の安定がそこにはある。

では具体的に原料とは何かというと、石油だ。

現代の化学製品の多くは、石油から化学反応を介して作られていく。

だから、石油に近ければ近いほど、原料に近いということができる。

石油を精製しているしている会社、石油からできる原料を作っている会社、それらの会社はかなりホワイトだし、給料も高いはずだ。

なぜなら、新しいことをする必要がない上に、利益も上がっているからだ。

他には、石油から原料を作る過程で必要なものを作っている会社も狙い目だ。

具体的に言えば触媒業界なんか良いだろう。

石油から反応を起こす時に必要になるものだからだ。

こんなふうに、この世の中の製品が作られているサプライチェーンの上流へ上流へと登っていけば、それだけホワイトになっていく。

給料や働き方を考えても、石油に近いものを扱っている会社がおすすめだ。

確かに、最先端のものを作っている会社はかっこいい。

最近注目されている〜とか、最先端技術を用いた〜は確かに自分が最先端のものに携わっているというある種の誇りのようなものを作ってくれる。

しかし、あえて言うとそんなものはおもちゃの勲章だ。

最先端の〜ということは、そこには他社との競争がある。早く良いものを作らなくてはいけない。

そうなるとあなたは頑張らなくてはいけなくなる。残業もあるだろう。それはホワイト企業と言えるのだろうか。

頑張って成果を出したとしても、あなたの給料は上がらない。

そうであるならば、ほどほどに頑張って良い給料をもらえた方が良いではないか。

かっこいいとか、そんなことではなく現実を見よう。現実的に苦労することなく利益が出ている会社に行こう。そこには良い景色が広がっているはずだ。

まとめ

ここまでであなたが行くべき会社についてお伝えした。

そうすれば、あなたがすべきことは具体的に転職へ向けて行動することだ。

行動することで初めてあなたの未来は開かれる。

実際に何をすれば良いのか。

次の記事では、転職を決めた時にまず最初にやるべきことについて解説していく。

-化学系研究職の転職コラム